先月書いた施工ブログの「住宅を活かす!駐車場スペースをテイクアウト店舗へ改装した増築リフォーム(和光市)」工事が完了しましたのでご報告いたします。

住宅の一部を店舗に活用するというアイデアは、近年、個人経営の飲食店やテイクアウト専門店を開業される方の間で注目を集めています。今回は、埼玉県和光市で行った「駐車場を活用したテイクアウト店舗へのリフォーム工事」の事例をご紹介します。

ご依頼の背景:住宅を活かしてテイクアウト事業を始めたい

ご依頼主様は、もともとご自宅の駐車スペースとして使っていた敷地の一部を使って、テイクアウト専門の飲食店を開業したいというご希望をお持ちでした。

最近では、カフェや軽食店などを小規模にスタートするスタイルが注目されており、「住宅の敷地を活かした増築」という形は非常に有効な選択肢です。

ただし、住宅の外観や構造と調和させる設計、建築基準法・用途変更への対応、厨房機器の配置など、通常のリフォームとは異なる専門的な視点が求められる点が多くあります。

増築リフォームの設計コンセプト

今回の施工では、以下のようなポイントを重視しました。

  • 住宅の意匠と調和したデザイン
  • 店舗としての利便性と動線の確保
  • 将来的な用途変更も見据えた柔軟な設計
  • 屋根・壁・開口部の断熱・防水性能の確保

住宅の隣接地に“増築”という形でテイクアウト店舗を新設するため、建物の接続部や屋根の勾配、雨仕舞の設計には特に注意を払いました。

施工の流れ

1. 解体・整地

まずは、既存のカーポートやコンクリート舗装を撤去し、整地作業を行いました。構造的に新設部分を安全に施工するためには、地盤の再確認と基礎工事の計画が非常に重要です。

2. 基礎工事

増築部には独立した基礎を設置。住宅と一体化する形でありながら、建築法上は増築扱いになるため、基礎の構造や床高さを住宅と連動させる必要がありました。

3. 建方(躯体の建て方)

木造在来工法を用い、短期間で建方を完了。開口部を多く取る計画だったため、柱・梁の配置バランスに気を配り、構造計算に基づいた耐力壁の配置を行っています。

4. 外壁・屋根工事

外壁材は住宅本体との調和を意識して選定し、軽量でメンテナンス性の高い外壁材を採用しました。屋根は勾配をつけ、隣接住宅との雨水排水計画も十分に考慮しています。

5. サッシ・建具設置

店舗らしい“入りやすさ”を演出するため、大きめのガラス引き戸を採用。外からメニューや雰囲気がわかるような、開放感のあるデザインとなりました。

6. 内装・厨房設備

内装は清掃性を重視し、長尺シート+キッチンパネル仕上げとしました。厨房機器の設置や電源・水回りの配管も、保健所への営業許可申請に対応した仕様で進めました。

7. 外構・接客スペース整備

最後に、テイクアウトの受け渡しや順番待ちのお客様が安全に過ごせるよう、アプローチ部分の舗装・外構工事を行いました。小さな植栽スペースを設け、地域の方にも親しみやすい雰囲気に仕上げています。

ビフォーアフター写真で見る施工の変化

施工前の様子(駐車場スペース)

もともとは住宅の横にある駐車場スペースで、コンクリート舗装の平坦な敷地でした。

施工中・内部の様子

厨房スペースの内装は防火・清掃対応。換気扇やダクト工事も含め、営業許可基準を満たす仕様に。

完成後の外観

住宅と一体感のある仕上がりで、まるで最初からこの形だったかのような自然な外観に。夜間には照明計画により温かみのある雰囲気が演出されます。

今後の活用と地域への貢献

今回の増築工事は、単なるリフォームを超え、住宅を活かした新たなビジネスのスタートをサポートするプロジェクトでした。完成後すぐに、地域住民の方からも「雰囲気が良い」「行ってみたい」と好評をいただいています。

今後は以下のような活用も視野に入れています。

  • テイクアウト以外に、イベント出店の拠点として活用
  • 一部スペースを使ったワークショップや試食会の開催
  • 将来的な間取り変更や拡張にも対応可能

テイクアウト店舗の増築は、住宅の可能性を広げる選択肢

このように、「住宅+店舗」という形は、初期投資を抑えつつも確実に開業できるスタイルとして、今後も広がりを見せると考えています。

ご自宅の一部や敷地を活かして、「店舗を作りたい」「ビジネスを始めたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。法規制・建築基準・補助金申請のご相談も含め、プランニングから施工までトータルでサポートいたします。

テイクアウト店舗の増築・住宅併設店舗の設計施工のことなら、お気軽にご相談ください。